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中国鋳造産業の現状

中国鋳造協会事務局長 シニアエンジニア 李 永聖

1、中国鋳造業界の基本状況
  (1)鋳物生産量
  近年来、中国の鋳物年間生産量は1000万d位ある。1989年は960万トン、1991年は1075万トン、1994年は1100万トンであって、旧ソ連とアメリカの次に、世界三位を占めている。

  (2)従業員数と生産性
  鋳造業界の従業員は約120万人である。労働生産性は、鋳鉄を例とすると、全国平均レベルが8−10トン/人・年に達する。

  (3)材質別の鋳物生産量
  鋳鉄は81%−83%で、鋳鋼は12%−14%で、非鉄金属は4.5%−5.0%である。消失鋳型鋳造は年間約10万トンを作り、ダイカストは約20万トンである。

  (4)主要鋳物製品の生産量
  中国においては、鋳物に対する需要量を業界別で見ると、重機械(冶金及び鉱山機械を含む)、建築業界(鋳鉄管を含む)、農業機械(ディーゼルエンジンを含む)産業界は一番需要が大きい。自動車、鉄道機関車、工作機械、汎用機械、エネルギーなどの業界はその次である。ほかの業界は比較的少ない。しかし、近年来、各業界の鋳物への需要増加を見れば、自動車業界は一番大きくて、30.4%−55%に達している。農業ディーゼルエンジン業界はその次で、18.7%になっている。その他、工作機械は18.5%で、鉄道輸送は17.5%で、建築業界は16.7%で、エネルギー(電力)設備は12%で、冶金鉱山は10.%である。

  (5)鋳造メーカー及びその分布
  1991年、中国の県及び県クラス以上が所属する鋳造メーカーは10500社である。行政地域で言うと、工業基盤の一番よい華東地方(上海、江蘇省、浙江省、山東省、安徽省、江西省、福建省)にある鋳造メーカーの割合は一番高くて、34.1%になっている。その次は中南地方(河南省、湖北省、湖南省、広東省、広西省、海南省)で、22.2%を占めている。東北地方の遼寧省が古い工業基地であるため、割合が高い。西南と西北地区は四川省、雲南省、甘肅省四つの省を除き、他の省、自治区の機械製造業が比較的遅れているので、比例が低い(それぞれ、8.1%と5.9%を占めている)。

  (6)輸入した鋳造設備と技術
  統計データによると、1995年まで中国が輸入した鋳造設備と機器は2000台位あり主には下記のものがある。

1)樹脂プロセス設備及び生産ライン 292台(ライン)
2)造型ライン  99ライン(台)
 そのなか:インパクト造型ライン 29ライン
 DISA造型ライン 41ライン
 高圧、ブロー及び静圧造型ライン 29ライン
3)ダイキャストマシン 551台
4)溶解炉(又は保持炉) 178台
5)中子製造設備 114台
6)測定設備(発行分析機器など) 210台
7)砂処理及びショットブラスト 若干
8)鋳造技術 若干

  以上のデータから分かるように、わが国は主に自力で企業の技術進歩を図ると同時に、外国の先進的な技術と新鋭設備も積極的に導入している。江蘇省のある自動車会社は1995年にヨーロッパの会社と鋳造設備及び技術導入契約を結び、外貨金額が3300万米ドルになっているという情報もあります。

2、2000年の中国鋳造市場需要予測

  鋳物生産量:90年代、中国のGDPは8−9%の伸び率で成長している。鋳物の需要は4%の伸びで増えている。2000年になると、鋳物の年間生産量は1300万トンに達する見込みである。
  鋳物の材質:2000年になると、鋳鉄は依然として多く80−82%を占める。その中、ダクタイルは自動車及び遠心鋳造管の発展につれて、鋳物全体の15%を超え、年間生産量は200万トンになり、一部の鋳鋼と可鍛鋳鉄は自動車工業での使用量が減少するため、2−3%まで減少する見込みで、年間生産量は30−40万トンになる。ねずみ鋳鉄の生産量は引続き増えるが、割合が下がって65%になり、年間生産量は900万トンになる。
  2000年になると、自動車、レジャー用品及び事務用品の需要増で、アルミ合金の生産量は80万トンに達するが、鋳物総生産量に占める比例が大きく変わらない。
  製品別の鋳物需要
  1)自動車工業は中国経済発展のホットスポットで、2000年になると、自動車用鋳物は現在の100万トンから150万トンに達する見込みである。
  2)建築業界の発展と国家インフラ建設の需要で、鋳鉄管の年間生産量は2000年になると、230万トンを超え、特に新しく導入した10ユニットの遠心ダクタイル鋳鉄管生産設備は相次ぎ稼動し、2000年になると、その生産量は50万トンに達する。
  3)農業機械、ディーゼルエンジン用鋳物は2000年の年間生産量が200万トンを超える見込みである。
  4)工作機械、バルブ、油圧部品の鋳物は樹脂砂の採用により、生産性がよくなり、全体の生産量も増える見込みである。
  5)鉄道機関車、発電設備、冶金鉱山と各種類の専門設備は2000年になると、生産量が30%以上増え、従って鋳物生産量も増える見込みである。
  6)世界経済環境の発展により、工業先進国は普通鋳物の生産量を減らし、高付加価値の鋳物の生産量を増やす傾向がある。それで、2000年になると、中国は年間60−70万トンの鋳物を輸出する可能性がある。
  上記の予測から分かるように、中国の鋳物業界は、改革開放の下に、新しい発展を遂げる見込みである。特に自動車、建築業、鉄道機関車などの鋳物に対する需要は大幅に増加する見込みである。
  ここで、もうひとつ説明させていただきたいのは中国において、現在、鋳物の製造メーカーが数多くあるが、大部分の生産技術が遅れ、機械化レベルが低くて、労働生産性がとても低い。鋳物の品質も不安定である。これがわが国の経済発展の需要に満足できない。中国鋳造業界の後れる状況を改善し、早く世界先進レベルを追い付くために、広範囲に国内外の新プロセス、新技術、新設備を導入し、技術革新を行わなければならない。

3、中国鋳造業界が必要な設備
  第九の五ヵ年計画期間中で、中国に適する設備は以下のとおりである。
  1)溶解炉及び保持炉、周波炉、炉外精錬設備(AOD,VODなど)、熱効率30%以上の非鉄金属溶解炉。
  2)高効率、精密、低騒音、省エネルギー、電子制御の中子製造設備。たとえば、垂直解枠型ブロー造型ライン、大型インパクト造型ライン、低騒音エアジョルト造型機、真空ブロー造型機、水平枠分けスクイーズ造型機(ライン)とゴールドボックス中子製造機等。
  3)大型横型ゴールドダイカストマシン、低圧鋳造機、金型鋳造プラント及びホットダイカストマシン。
  4)大型砂処理設備及び大型樹脂砂混練機と再生設備。
  5)消失模鋳造設備と技術、精密鋳造設備と技術。
  6)連続式ショットブラスト及びステーションターンテーブルショットブラスト。
  7)鋳物内部品質を向上するための検査用精密測定機器(例えば、カントバック、CSメーターなど)。
  8)公害防止設備。  

 

               

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